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テクニカル分析入門(移動平均線)

テクニカル分析の考え方と、最も基本的な指標である移動平均線を解説します。計算方法、期間設定の目安、トレンドの見方やゴールデンクロス、そして必ず理解しておくべき弱点まで図解でまとめました。

作成日: yama

チャートを開くと、ローソク足の上に何本もの曲線が引かれていることがあります。その多くが移動平均線です。

数あるテクニカル指標のなかでも移動平均線が最初に紹介されるのは、計算が単純で、何を表しているかを説明できるからです。逆に言えば、仕組みを理解せずに「クロスしたら買い」とだけ覚えると、うまくいかない場面で理由が分からなくなります。

このページでは、テクニカル分析の位置づけから移動平均線の計算方法、実際の使い方と弱点までを順番に整理します。

このページについて

当サイトの内容は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や特定の手法を推奨するものではありません。 テクニカル分析は将来の値動きを保証するものではなく、ここで紹介する見方が常に機能するわけでもありません。

テクニカル分析とは「過去の値動きから考える手法」

相場を分析する方法は、大きく2つに分けられます。

手法見るもの例
テクニカル分析過去の値動きそのものチャートの形、移動平均線、サポートライン
ファンダメンタルズ分析相場を動かす背景政策金利、経済指標、要人発言

テクニカル分析は「多くの市場参加者が同じチャートを見て、似た場所で反応する」という前提に立っています。だからこそ広く使われている指標ほど意識されやすいという性質があります。

ただし、これは予言ではありません。過去にそうなったという記録から確率的に判断しているだけで、外れる場面は必ずあります。この前提を外すと、指標への過信につながります。

移動平均線とは「一定期間の平均値を結んだ線」

移動平均線(Moving Average)は、直近◯本分の終値を平均した値を、1本ずつずらしながら計算して線でつないだものです。

たとえば5日移動平均線なら、直近5日の終値を足して5で割ります。翌日になると最も古い日が外れ、新しい日が加わります。

5日移動平均線の計算(数字は終値)150.0150.5151.0150.8151.2151.5この5つの平均753.5 ÷ 5 = 150.70150.5151.0150.8151.2151.5翌日は1つずらして計算755.0 ÷ 5 = 151.00

古い日が1つ外れ、新しい日が1つ加わる。この繰り返しで線が描かれる

単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)

移動平均線にはいくつか種類があり、よく使われるのは次の2つです。

種類特徴
SMA(単純移動平均線)期間内のすべての終値を等しく扱う。動きが滑らかで分かりやすい
EMA(指数平滑移動平均線)直近の終値ほど重く扱う。価格の変化に早く反応する

どちらが優れているというものではありません。 EMAは反応が早いぶん細かい動きにも振られやすく、SMAは安定している代わりに転換が遅れます。最初はSMAから始めて、動きの特徴をつかんでから使い分けるので十分です。

よく使われる期間

期間の設定に決まりはありませんが、多くのチャートツールで初期設定として使われる値があります。

区分よく使われる期間
短期5、20〜25
中期50、75
長期100、200

日足の200日移動平均線は特に多くの参加者が見ている線として知られています。広く見られている線ほど反応が起きやすい、というのがテクニカル分析の前提でした。

一方で、期間を変えれば線の形も売買のタイミングも変わります。「自分に都合のよい結果が出る期間」を探し始めると、過去のチャートにだけ当てはまる設定になりがちです。まずは一般的な値をそのまま使うことをおすすめします。

移動平均線の使い方

1. トレンドの方向を見る

最も基本的で、最も重要な使い方です。

  • 線が上を向いている → 買いの勢いが優勢
  • 線が下を向いている → 売りの勢いが優勢
  • 線が横ばい → 方向感が定まっていない

横ばいのときは、後述するクロスなどのサインも機能しにくくなります。方向感のない相場では手を出さないという判断も、立派な戦略のひとつです。

2. 価格との位置関係を見る

価格が移動平均線より上にあれば、その期間に買った人の平均は含み益の状態です。下にあればその逆になります。

この性質から、移動平均線は下値の支え(サポート)や上値の抑え(レジスタンス)として意識されることがあります。上昇の途中で価格が移動平均線まで下がり、そこから反発する動きはよく見られます。

3. ゴールデンクロスとデッドクロス

期間の異なる2本の移動平均線が交差する形です。

2本の移動平均線の交差ゴールデンクロスデッドクロス短期線長期線

短期線が長期線を下から上に抜けるとゴールデンクロス、上から下に抜けるとデッドクロス

  • ゴールデンクロス — 短期線が長期線を下から上に抜ける。上昇への転換を示すとされる
  • デッドクロス — 短期線が長期線を上から下に抜ける。下降への転換を示すとされる

ただし、これらは単独で売買を決める根拠にはなりません。理由は次のとおりです。

移動平均線の弱点

必ず「遅れて」出る

移動平均線は過去の終値を平均したものなので、価格が動いたあとにしか反応できません。これは計算方法からくる避けられない性質で、どんな期間設定を選んでも変わりません。

ゴールデンクロスが出たときには、すでに上昇がある程度進んでいることが多くあります。

方向感のない相場ではダマシが増える

価格が一定の範囲を行き来している相場では、短期線と長期線が何度も交差します。そのたびに売買していると、小さな損失を積み重ねることになります。

移動平均線が本領を発揮するのは、方向がはっきりしている相場です。

期間設定で結果が変わる

同じチャートでも、5日と25日で見るのか、25日と75日で見るのかによってクロスの位置は変わります。「正解の設定」は存在しません。

実際に使うときの心がけ

  1. まず線の向きを見る — クロスよりも、線が上下どちらを向いているかのほうが情報量があります。
  2. 上位の時間軸も確認する — 1時間足で買いのサインが出ていても、日足が下向きなら勢いは限られます。
  3. 他の根拠と組み合わせる — 移動平均線だけで判断せず、直近の高値・安値などと合わせて見ます。
  4. 損切りの位置を先に決める — サインが外れたときにどこで撤退するかを、注文を出す前に決めておきます。
  5. ロット数は資金管理で決める — 分析の自信と取引数量は切り離して考えます。数量の考え方は レバレッジとは?メリットとリスクを解説 で扱っています。

分析が当たっても、資金管理は別の問題です

どれだけ丁寧に分析しても、外れる取引は必ずあります。1回の負けで資金の大半を失わないよう、 ポジションを持つ前に FXロスカット計算機 でどこまで耐えられるかを確認しておいてください。

まとめ

  • テクニカル分析は過去の値動きから確率的に考える手法で、将来を保証するものではない
  • 移動平均線は直近◯本の終値の平均を結んだ線。計算は単純な平均
  • SMAは滑らか、EMAは反応が早い。優劣ではなく性質の違い
  • 最も重要な使い方は線の向きでトレンドの方向を見ること
  • ゴールデンクロス・デッドクロスは単独の売買根拠にはならない
  • 計算方法上、必ず遅れて出る。方向感のない相場ではダマシが増える
  • 「正解の期間設定」は存在しない。まずは一般的な値をそのまま使う

移動平均線は、相場の方向をひと目で確認するための道具です。当てるための装置ではなく、状況を整理するための補助線として使うと、判断がぶれにくくなります。

yama

兼業FXトレーダー / I Love FX 運営者

会社員として働きながら、2018年からFXを続けている兼業トレーダー。自分がつまずいたポイントを中心に、初心者が遠回りしないための情報を発信しています。