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ロスカットとは?仕組みと対策

FXのロスカットが発動する条件と計算方法を、具体的なレートで追いながら解説します。損失を防ぐ仕組みではないこと、窓開けで想定どおりに効かない場合があること、そして発動させないための対策までまとめました。

作成日: yama

ロスカットは、含み損がふくらんだときにFX会社が自動でポジションを決済する仕組みです。これ以上損失が広がらないように止めてくれる、いわば最後の歯止めにあたります。

ただ、歯止めが働いた時点では、すでに資金の大半を失っていることがほとんどです。ロスカットは助けてくれる仕組みというより、そこまで追い込まれた結果を知らせる通知に近いものだと考えてください。

このページでは、ロスカットがどの条件で発動するのかを具体的なレートで追いながら、発動させないために何ができるのかを整理します。

このページについて

当サイトの内容は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や特定の取引を推奨するものではありません。 ロスカット水準やマージンコールの基準はFX会社ごとに異なります。実際の数値は取引先の公式サイトでご確認ください。

ロスカットは強制的に決済される仕組み

FXでは、取引したい金額の一部を証拠金として預けることで取引ができます。預けた金額より大きな金額を動かしているため、相場が逆に動くと、預けた資金が足りなくなる場面が出てきます。

そこでFX会社は、資金に対する余裕がある水準を下回った時点で、保有しているポジションを自動で決済します。これがロスカットです。利用者が同意するかどうかとは関係なく実行され、取り消すこともできません。

この仕組みがあるおかげで、口座残高がマイナスまで落ち込む事態をある程度は避けられます。FX会社から見れば、回収できない債権を抱えないための措置でもあります。

発動の条件は証拠金維持率

ロスカットの判断に使われるのは、証拠金維持率という数字です。

証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

有効証拠金は、口座残高に未決済の評価損益を足し引きした、実質的な今の資産です。含み損が増えると口座残高は変わらないまま有効証拠金だけが減り、維持率が下がっていきます。それぞれの用語は 証拠金・証拠金維持率とは? で詳しく扱っています。

維持率が下がると、FX会社は段階を踏んで対応します。

含み損が増えたときの流れ通常の取引維持率に余裕があるマージンコール入金か決済を促す警告ロスカット自動で強制決済維持率 高い維持率 低い警告の段階で動けるかどうかが分かれ目になります

マージンコールは警告で、ロスカットは実際の決済

マージンコールは、入金するかポジションを減らすよう促す警告です。この時点ではまだ決済されません。そこからさらに維持率が下がると、ロスカットが実行されます。

水準はFX会社によって違う

発動する水準は各社が決めており、国内業者では50%から100%の範囲が多く見られます。海外業者は20%前後に設定していることが多く、マージンコールの段階を設けていない場合もあります。

水準が低いほど粘れるように見えますが、その分だけ損失がふくらんでから決済されることでもあります。低い水準が有利とは限りません。

どのレートで発動するのか

実際の数字で追ってみます。条件は口座残高30万円、USD/JPYが150.00円、レバレッジ25倍、ロスカット水準50%です。ここから取引数量だけを変えてみます。

取引数量必要証拠金耐えられる値幅ロスカットのレート
1万通貨60,000円27.00円123.00円
3万通貨180,000円7.00円143.00円
4万通貨240,000円4.50円145.50円

1万通貨なら27円も下がらないと発動しませんが、4万通貨では4.5円で届いてしまいます。資金は同じ30万円のままで、変えたのは数量だけです。

4.5円という値幅は、重要な経済指標の発表時なら数分で動くこともあります。数量を増やすほど、ロスカットは現実的な距離に近づいてきます。

誤解されやすい2つの点

損失を防ぐ仕組みではない

ロスカットは損失を止める仕組みであって、損失を小さく抑えてくれるものではありません。上の例でいえば、4万通貨で発動したときには18万円の損失が確定しています。残高30万円の6割にあたります。

ロスカットまで耐える前提でポジションを持つと、1回の失敗で資金の大半を失います。発動する前に自分で撤退する線を決めておくことが前提になります。

想定どおりに効かないことがある

もうひとつ知っておきたいのが、ロスカットが計算どおりの位置で働くとは限らない点です。

レートが飛んだときに起きること想定したロスカット水準値が飛ぶここで決済される

水準を飛び越えて約定すると、計算より大きな損失になります

週明けの取引開始時や、重大なニュースが出た直後には、レートが連続せずに飛ぶことがあります。この状態を窓開けと呼びます。買い手と売り手の希望価格が大きく離れ、途中の価格で取引が成立しないまま次の価格に移るために起こります。

飛んだ先が想定のロスカット水準より不利な位置だと、その価格で決済されます。計算上は30万円のうち18万円の損失で済むはずが、それ以上になることもあります。

口座残高がマイナスまで落ち込んだ場合、国内業者では不足分の入金を求められます。これが追証です。ゼロカット方式を採る海外業者ではマイナス分が免除されますが、入金した資金が戻るわけではありません。

発動させないための対策

ここからは、ロスカットに近づかないために何ができるかを見ていきます。

取引数量を先に決める

最も効果があるのは数量を抑えることです。先ほどの表のとおり、同じ資金でも数量を4倍にすると耐えられる値幅は6分の1になります。

発注する前に、1円逆に動いたときいくら失うのかを計算してください。1万通貨なら1万円、5万通貨なら5万円です。この金額が、自分の資金に対して受け入れられる範囲に収まっているかを確かめます。数量の決め方は レバレッジとは?メリットとリスクを解説 でも扱っています。

損切り注文を置いてから持つ

ロスカットを待つのではなく、自分で決めた位置に逆指値注文を出しておきます。注文を出す前に撤退する価格を決め、新規注文と同時に損切り注文も入れておくと、相場を見ていない時間帯も損失が限定されます。

ただし、窓開けのときは逆指値も想定どおりの価格では約定しません。この点はロスカットと同じです。

余力を残しておく

同じ1万通貨でも、口座に入れている資金が多いほど耐えられる値幅は広がります。レバレッジ25倍、ロスカット水準50%で計算すると次のとおりです。

口座残高耐えられる値幅ロスカットのレート
10万円7.00円143.00円
20万円17.00円133.00円
30万円27.00円123.00円

残高を2倍にすると、耐えられる値幅は7円から17円へと2倍以上に広がります。必要証拠金は変わらないため、増やした分がそのまま余力になるからです。

資金のすべてを証拠金として使い切らず、余力を残した状態で取引することをおすすめします。

指標発表と週明けに備える

雇用統計や政策金利の発表前後は値動きが大きくなり、スプレッドも広がりやすくなります。週末をまたぐと、月曜の開始時に窓が開くこともあります。

こうした時間帯をまたいでポジションを持つなら、普段より数量を減らすか、いったん決済して持ち越さないという判断も選択肢になります。

複数のポジションは合計で見る

通貨ペアごとに小さく分けて持っていても、必要証拠金は合計されます。1つずつは余裕があるように見えても、全体では維持率が下がっていることがあります。

ポジションを追加するときは、そのつど口座全体の維持率を確認してください。

まとめ

ロスカットは証拠金維持率が一定の水準を下回ったときに、FX会社が自動でポジションを決済する仕組みです。口座残高がマイナスになることを防ぐための措置であり、損失そのものを小さくしてくれるわけではありません。

発動するまでの距離を決めているのは取引数量です。資金が同じでも、数量を増やせばロスカットは一気に近づきます。窓開けのときには計算より不利な価格で約定することもあり、国内業者では追証が発生する場合もあります。

対策の中心は、数量を抑えること、損切り注文を先に置くこと、そして余力を残すことの3つです。自分の資金と数量でどのレートまで耐えられるかは、FXロスカット計算機 で確認できます。ポジションを持つ前に一度通しておきましょう。

yama

兼業FXトレーダー / I Love FX 運営者

会社員として働きながら、2018年からFXを続けている兼業トレーダー。自分がつまずいたポイントを中心に、初心者が遠回りしないための情報を発信しています。