経済指標とは?初心者が注目すべき指標
経済指標の意味と、発表で為替が動く理由を解説します。相場を動かすのは結果の良し悪しではなく予想との差であること、米雇用統計やCPI、FOMCなど初心者がまず押さえたい指標、発表前後にスプレッドが広がるリスクと対策までまとめました。
作成日: yama

FXのチャートを見ていると、数分のあいだに数十pipsも動く場面に出会うことがあります。その多くは、経済指標の発表がきっかけです。
経済指標は数百種類あり、すべてを追う必要はありません。為替を大きく動かす指標は限られていて、発表の日時も前もって分かっています。
このページでは、経済指標で為替が動く仕組みを押さえたうえで、初心者がまず注目したい指標と、発表の前後に気をつけたい点を整理します。
このページについて
当サイトの内容は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘や特定の取引を推奨するものではありません。 発表時刻は日本時間の目安で、夏時間・冬時間の切り替えや各国の予定変更でずれることがあります。正確な日時は経済指標カレンダーや各国の公式発表でご確認ください。
経済指標とは国の景気を測る統計
経済指標は、政府や中央銀行、民間の調査機関が定期的に発表する統計です。雇用、物価、生産、消費などの数字から、その国の景気がどうなっているかを読み取れます。
為替が経済指標に反応するのは、指標の結果が金利の見通しを変えるからです。
景気が強く物価が上がっていれば、中央銀行は利上げを考えます。金利が上がりそうな通貨は買われやすく、反対に利下げが近づいた通貨は売られやすくなります。
指標が強い → 利上げ観測が強まる → その国の通貨が買われやすい
指標が弱い → 利下げ観測が強まる → その国の通貨が売られやすい
米国の指標が特に注目されるのは、米ドルが世界で最も取引されている通貨で、米国の金融政策が他の国の通貨にも影響するためです。
相場を動かすのは「予想との差」
経済指標には、発表前に市場予想が出ています。経済指標カレンダーには、前回値、予想値、結果の3つが並びます。
ここで押さえておきたいのは、為替が反応するのは結果の良し悪しではなく、予想とどれだけ違ったかという点です。
予想どおりの数字は、発表前の時点で価格にほぼ織り込まれています。そのため、良い数字が出ても動かないことがあり、予想を下回れば良い数字でも売られることがあります。
比べる相手は前回値ではなく予想値
もう一つ見落としやすいのが、前回値の修正です。雇用統計などでは前回分の数字が後から改定され、今回の結果が予想どおりでも、前回分が大きく下方修正されて売られることがあります。
発表直後の数秒から数分は、ヘッドラインの数字だけに反応して上下に振れ、その後に中身が消化されて方向が決まることもよくあります。最初の動きがそのまま続くとは限りません。
初心者がまず押さえたい米国の指標
米国の指標の多くは、日本時間の21時30分(冬時間は22時30分)に発表されます。夜に取引する人は、この時間に何が予定されているかを確認する習慣をつけましょう。
| 指標 | 発表の目安 | 日本時間 | 何を表すか |
|---|---|---|---|
| 雇用統計 | 原則として毎月第1金曜日 | 21:30(冬 22:30) | 雇用者数の増減、失業率、平均時給 |
| 消費者物価指数(CPI) | 毎月中旬 | 21:30(冬 22:30) | 物価の上昇率 |
| FOMC政策金利 | 年8回 | 3:00(冬 4:00) | 米国の政策金利の決定 |
| ISM製造業景況指数 | 毎月第1営業日 | 23:00(冬 24:00) | 製造業の景況感 |
| 小売売上高 | 毎月中旬 | 21:30(冬 22:30) | 個人消費の強さ |
| GDP(速報値) | 四半期ごと | 21:30(冬 22:30) | 経済全体の成長率 |
雇用統計
為替で最も注目される指標の一つです。非農業部門雇用者数(NFP)が予想とどれだけ違うかに加えて、失業率と平均時給も見られます。平均時給は物価に影響するため、利上げや利下げの見通しに直結します。
消費者物価指数(CPI)
物価の上昇率を表す指標です。米国の中央銀行であるFRBは物価の安定を目標にしているため、物価が予想より上がれば利上げ観測が強まり、ドルが買われやすくなります。食品とエネルギーを除いたコア指数も同じくらい注目されます。
FOMC
FOMCは米国の金融政策を決める会合で、政策金利の決定とともに声明文が発表されます。日本時間では深夜から早朝にあたり、30分後に始まる議長の記者会見の発言でも大きく動きます。
金利の据え置きが予想どおりでも、声明文や会見で今後の利上げや利下げの見通しが変われば相場は動きます。
日本や欧州で注目したいもの
USD/JPY以外の通貨ペアを取引するなら、その通貨の国の指標も確認が必要です。
| 国・地域 | 注目したいもの | 発表時刻の目安(日本時間) |
|---|---|---|
| 日本 | 日銀金融政策決定会合 | 正午前後(終了時刻は決まっていない)、15:30から総裁会見 |
| ユーロ圏 | ECB政策金利、消費者物価指数 | 政策金利は21:15(冬 22:15) |
| 英国 | 英中銀政策金利、消費者物価指数 | 政策金利は20:00(冬 21:00) |
日本の個別の指標は為替への影響が比較的小さく、円を大きく動かすのは日銀の会合が中心です。日銀の結果は会合の終了後に発表されるため、時刻が前もって決まっていない点に注意が必要です。
発表の前後に気をつけたいこと
スプレッドが広がる
指標の発表前後は、FX会社が提示するスプレッドが一時的に広がります。ふだん0.2銭のUSD/JPYでも、発表の瞬間には数銭以上に広がることがあります。
仮にスプレッドが3銭に広がったときに1万通貨を取引すると、コストは300円です。ふだんの20円の15倍になります。
注文が想定の価格で約定しない
価格が一気に動くと、指値や逆指値の注文が指定した価格で約定せず、不利な価格で約定することがあります。これをスリッページと呼びます。損切りの逆指値を置いていても、指定した価格より大きな損失になる場合があります。
損失が想定より大きくなる
雇用統計の発表直後には、USD/JPYが数十pips以上動くことも珍しくありません。1万通貨なら50pipsの逆行で5,000円の損失です。数量が大きいほどこの金額は増え、証拠金に余裕がなければロスカットまで一気に進むこともあります。
ロスカットの仕組みは ロスカットとは? で、数量と耐えられる値幅の関係は レバレッジとは? で解説しています。
経済指標との付き合い方
- 経済指標カレンダーを確認します。その週に大きな指標がいつあるかを、週の初めに見ておきます。
- 発表をまたぐかどうかを決めます。初心者のうちは、大きな指標の前にポジションを閉じるか、持たずに見送るのが無難です。
- 持ったまま発表を迎えるなら、数量を減らします。数十pipsの逆行とスリッページを含めても許容できる損失に収まるかを、FXロスカット計算機 で確認しておきます。
- 発表直後の値動きには飛び乗りません。最初の数分は上下に振れやすく、スプレッドも広がったままです。落ち着いてから方向を判断しても遅くありません。
- 結果と相場の反応を記録します。予想とどれだけ違ったときに、どのくらい動いたかを残しておくと、次回の値動きの大きさを見積もりやすくなります。
まとめ
経済指標は、各国の景気を測る統計です。指標の結果が金利の見通しを変えるため、為替が反応します。
相場を動かすのは結果の良し悪しではなく、予想との差です。予想どおりなら反応は小さく、前回より良い数字でも予想を下回れば売られることがあります。
初心者がまず押さえたいのは、米国の雇用統計、CPI、FOMCの3つです。米国の指標の多くは日本時間の21時30分(冬時間は22時30分)に発表されます。
発表の前後はスプレッドが広がり、注文が想定外の価格で約定することもあります。大きな指標の前はポジションを閉じるか数量を減らし、発表直後の値動きには飛び乗らないようにしましょう。
yama
兼業FXトレーダー / I Love FX 運営者
会社員として働きながら、2018年からFXを続けている兼業トレーダー。自分がつまずいたポイントを中心に、初心者が遠回りしないための情報を発信しています。